【2024年版】東北大志望の受験生が夏以降にやるべき数学の参考書・勉強法
今回は、理系の東北大志望の受験生が夏以降にやるべき参考書・勉強法をお伝えします。おそらく、現時点での実力で過去問に太刀打ちできず、苦しんでいる人も多いかと思います。東北大の数学レベルまでどうやって引き上げていくのかを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、高1,2生などこれから東北大に向けて勉強しようという人はこちらの記事を参照ください。
【2024年版】東北大理系数学 傾向と対策 攻略のための勉強法
【この記事を読むべき人】
- 過去問を解いても解けるイメージが湧かなかった東北大の理系学部志望の受験生
- 数学で合格者平均点くらいを何とかして取りたい東北大の理系学部志望の受験生
- 東北大の理系学部志望で夏以降にどんな対策をしたらいいか知りたい受験生
【自己紹介】
I・T先生
「理系のための大学受験塾SoRa」の数学【カラ破り】コース主任。京都大学理学研究科数学・数理解析専攻修士課程修了。現在は、5つの大学で数学の授業を受け持ち、大学生に数学を教える傍ら、SoRaの難関大志望者の指導にもあたっている。
東北大学理系数学の出題範囲・形式について
出題範囲(前期日程) | ・ 「数学Ⅰ」「数学A」 ・「数学Ⅱ」「数学B(数列)」 ・「数学Ⅲ」「数学C(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)」 |
試験時間 | 150分 |
問題数 | 大問6題 各大問は小問2~5つで構成 ※これまで一部の年度では、小問分割されてないものも出題 |
出題形式 | 全問記述式 |
頻出分野 | 分野は満遍なく出題されています |
東北大学発表文書から読み取れる出題傾向
東北大学は文書「東北大学一般選抜個別学力試験 出題意図」(今年度分は東北大HPに10月まで掲載されています)を20年間ほど発表してきました。大問ごとの出題意図、採点講評、全般的な注意がなされています。
今年度の発表文書に目を通すと、「基本の理解」「分析力・発想力」「明解な答案作成」の3つが東北大学側から求められていると読み取れます。昨年度までの発表文書には「計算の力」という文言が入っており、それまでの出題においては計算量の多い大問が1題は含まれていました。
しかし、2024年は目立って計算量の多い出題はなく、今後の傾向として「分析力・発想力」を問う出題に注意を払う必要がありそうです。「分析力・発想力」という語が何を表すかについては後述します。
何に注目して対策を進めるべきか?
合格者平均点を少し超えるくらいを目標にしている受験生であれば、当然、「分析力・発想力」という語に注意を向けるべきでしょう。しかし、その前に「基本の理解」という語に目を向けないと後述するように「分析力・発想力」を問う出題には、対応できません。また、点数もそれなりのものに留まってしまうでしょう。
さて、まず「基本の理解」とは、教科書の例題そのままを「暗記」や「公式のあてはめ」で理解した状態ではなく、少し設定が変えられたような出題であっても対応できるような幅のある理解を指します。
難関大である東北大学においても、「基本の理解」を前提として、分析力・発想力が問われる問題が大半を占めており、大学側が重視していることが窺えます。下の24年の大問2がその例です。
小問(1)は数学Ⅱの範囲の出題ですが、問われ方が教科書の例題と随分と異なります。解いてみると教科書に載っているような式変形を組み合わせるだけの小問なのですが、単なる「暗記」や「公式のあてはめ」で対策をしてきた受験生かどうかを選り分けるかのような出題となっています。
さて、「分析力・発想力」という語についてですが、東北大学発表の文書内において、
公式が適用可能ならば適切に使用し、適用不可能ならば試行錯誤して論理的に結果を導き出すための分析能力、発想力、論理的思考能力などが必要です。
なる表現があり、基本の理解を前提として、さらにそれを組み合わせたり、変形させたりするような高度な力まで要求していることが窺えます。
たしかに近年の東北大理系数学においては、融合分野からなる出題やどの分野からの出題かが一見分からないような出題がなされており、まずは分析から始めないとどの分野の基本事項を使えばいいのかすら分かりません。
たとえば、上の24年の大問2(2)を解く際には、整数分野・数学的帰納法の内容に気付かないと解けないような設定になっており、一見したところ、気付きづらいです。
問題文に「数学的帰納法により」と書いてないことから、まさに「試行錯誤により結果を導出する」ことを受験生に求めていることが窺えます。小問(1)と(2)のつながりを分析したり、どうやったら結論に至るのか発想することが求められます。充分な「基本の理解」、すなわち、教科書そして青チャートの例題の充分な理解がなされてはじめて、この「分析」「発想」ができる可能性が出てくるのです。
夏以降にやるべき対策の手順と参考書
すぐに、「分析力・発想力」を身に付けるにはどうしたらいいか?と問いたくなりますが、「分析」や「発想」の元となるのは「基本の理解」です。以下、「基本の理解」から始めてどんな手順で「分析力・発想力」を身に付けるに至るかについて書きます。
対策の手順1:「基本の理解」を充分なものにする
「基本の理解」とは、教科書の例題そのままを「暗記」や「公式のあてはめ」で理解した状態ではなく、少し設定が変えられたような出題であっても対応できるような幅のある理解を指します。
大問1にはしばしば文理共通問題が配置されており、難易度も標準のものが多くまさに「基本の理解」を問う出題がなされると言っていいでしょう。
しかし、理系学部志望者にとっては、ここ数カ年を観察すると、大問2が「基本の理解」を前提として更にそれを組み合わせたりすることが求められる出題となっており、年度によっては融合問題と呼んでいいくらいの大問もあります。大問2が勝負の分かれ目と言っていいでしょう。
こういった教科書と少し異なる問われ方がなされる大問や「基本の理解」を前提として更にその組み合わせによって解答に至ることが求められる大問が収録されている問題集としては「入試精選問題集 理系数学の良問プラチカ数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・C」がいいでしょう。
入試精選問題集 理系数学の良問プラチカ 数学I・A・II・B・C 四訂版 (河合塾SERIES)
同じシリーズで「文系数学のプラチカ」というのもありますが、文系数学のプラチカの方が問題の難易度が高く、「基本の理解」を充分なものにすることを目的にするのではれば、いわゆる「理系数学のプラチカ」で十分です。
合格者平均点を少し超えるくらいを目標にしている人は*マークの入っている応用的な問題は飛ばしてもいいでしょう。苦手分野だけでも構いませんので、*マークの入ってない問題のうちの50題くらいは解いておきたいです。もし1日2題解けば2ヶ月はかからないという計算です。
対策の手順2: 青チャートは「重要例題」まで解く
線分の通過領域や確率漸化式、そして、ガウス記号など教科書では表立っては扱わないものの、入試問題では典型問題に分類されるものを青チャートの「重要例題」では扱っています。
東北大学理系数学においても過去に青チャートの「重要例題」で扱っているテーマがよく出題されてきました。「重要例題」を基本に分類するかはさておき、東北大学理系数学でよく出題される内容を解いていないというのは致命傷になりかねません。余裕があれば、青チャートの「演習例題」も解いておきましょう。
青チャートの使い方について詳細を知りたい方はこちらの記事を参照ください。
関連記事>>偏差値を爆上げ!する青チャートの勉強法やいつまでにやるべきかを解説
対策の手順3:「分析力・発想力」を問う大問を50題解いてみる
数学科目で志望学部の合格者平均点を少し超えるくらいを目標にするということは「分析力・発想力」を問う大問で部分点でもいいので点数を稼がねばなりません。完答を目指す対策というのはさすがに厳しいので、まずは「分析力・発想力」が求められる大問を50題ほど解いてみましょう。
市販の問題集で東北大学理系入試数学において要求される「分析力・発想力」の養成までカバーしたものはそんなにありません。この50題の選択は、東北大学理系数学最近5カ年だけでなく、九州大学と名古屋大学の最近5カ年をまず解いてみましょう。
九州大学(理系-前期日程) (2025年版大学赤本シリーズ)
解いていく過程で、「小問どうしのつながりを分析する」とか「試行錯誤により結果を導出する」といった文言が何を意味しているのかが分かってくると思うのです。
ここで、前掲の24年大問2(1)が解けなかった人は要注意です(下に再掲します)
数学Ⅱで不等式、指数・対数は習っているので、あとはその知識を運転させて解くだけなのです。この「試行錯誤により結果を導出する」ことから逃げていると、いつまで経っても解けるようにはなりません。
何時間かかってもいいので、もう意地になってでも24年大問2(1)に解答を書いてみましょう。
以下に簡単な方針を載せているので、解けなかった人は、下を読んでみて欲しいのです。ただ教科書で学んだ基本を組み合わせるだけです。「基本の理解」が前提にあって、「解き方の視点を変える」や「求められている問を言い換える」といった姿勢が「分析、発想」につながる鍵となるのです。
さて、融合問題まで収録している問題集は少ないのですが、月刊誌「大学への数学」の1月号、2月号で特集されている「総合演習」が融合問題をまとめて扱っていますし、量も解けるだけの量が掲載されています。
昨年度のものでもいいので、入手しておくといいでしょう。青チャートの後ろのほうに取り上げられている「総合演習」、他にも、フォーカスゴールドの後ろのほうに取り上げられている「Level up問題」は融合問題というわけではないのですが、演習価値が高いです。問題数が多すぎるので、苦手な単元だけ解くのがいいでしょう。
部分点を狙うという視点
入試本番でどの大問も完答できるかと言うと、そうではないと思うのです。少しでも点数を上げようとすると、部分点を狙うという視点が大切になってきます。
2024年から問題文が長文化しており、そういった大問内の小問前半部は基本的な内容の理解を問う出題がなされていますので、ここで部分点を狙うのがいいでしょう。他の大問に気を取られて比較的易しい部類の小問を解き損なうと点数があまり出ませんので、この長文化された大問内における難易度配置には今後気にしておいて欲しいのです。
まとめ
数学科目で志望学部の合格者平均点を少し超えるくらいを目標にしているということは、他の英語や理科においては合格者平均点を確保できるように対策を進めていかねばなりません。
限られた時間での対策となりますので、10月までに対策の手順2まで到達しておかないと、間に合いません。「分析力・発想力」が問われる大問は、教科書や教科書傍用問題集などでは扱われることはなく、東北大学の過去問を解いてはじめて出会うものです。10月中には東北大学理系数学最近5カ年を解いて、対策の手順3を進めていって欲しいです。
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