【2024年版】北大の理系数学を攻略!青チャートの次にやるべき問題集は?

今回は、近年の北大の理系数学の難易度も踏まえつつ、青チャートを一通りやった後に北大理系数学の対策として実際に何をやるべきかについて、理系の大学受験専門塾の講師がお伝えします。

【この記事を読むべき人】

  • 北大の理系学部に絶対に合格したい人
  • 青チャートを一通りやった受験生
  • 北大の二次試験の数学でどんな対策をすればいいか知りたい人

【自己紹介】
I・T先生
「理系のための大学受験塾SoRa」の数学【カラ破り】コース主任。京都大学理学研究科数学・数理解析専攻修士課程修了。現在は、5つの大学で数学の授業を受け持ち、大学生に数学を教える傍ら、SoRaの難関大志望者の指導にもあたっている。2023年には指導した生徒で北大総合理系の合格者も輩出している。

目次

近年の北大理系数学の難易度は?

まず、北大の理系数学は、2022・2023年はそれ以前と比べて難化していましたが、2024年にはいったん標準問題が並ぶ出題となりました

ただ、他の旧帝国大は難化傾向のままであったため、2025年には再びやや難から難の出題が数題並ぶであろう可能性があります。

北大のHP内の文書「令和〇年度一般選抜学力検査等の試験問題及び正解・解答例等について」を過去3年分見てみると、2025年に易化する気配を感じ取ることはできません。(昨年度の入試についてのものが毎年度5月から9月末まで公開されています)
「令和6年度一般選抜学力検査等の試験問題及び正解・解答例等について」はこちらから

難化傾向にあった最後の年である、令和5年度の文書を参考にしてみると、文書の最後の部分にある「全般的な注意」からは大きなヒントが得られます。

以下に要点をまとめると、

  • 基礎的な計算力の低下
  • 問題文をよく読んで内容をしっかり理解して欲しい
  • でたらめな議論では、たとえ答えが正解であったとしても0点である
  • 受験生本人にしか理解できないような記述が多く見られた

などかなり手厳しい表現が並びます。要するに、基礎的な数学力が身についていない受験生が多いということでしょう。

さらには、問題をどのように解いていくのかを「推論」し、論理的で簡潔な解答となるような「論証」や「証明」を求められています(実際に文章の中で、「推論」「証明」「論証」という言葉が散見されていました)

このことから、自分で仮説を立てて考ながら、他人に伝える能力が求められていることが分かります。

また、文書内で「融合問題」と表現された大問が3つ出てきており、大学側が意識して融合問題を出題していることも分かります。

こういった「推論」「証明」「論証」を訓練する問題や融合問題は、青チャートでは過去の入試問題が並ぶEXERCISESのところに収録されています。青チャートを眺めてみると、「基本例題」「重要例題」に力を入れて解説している参考書であることに気付くので、解説の比較的薄いEXERCISESだけで対策をするのは第一に取るべき作戦ではないです。

このようなことを踏まえて、次に北大の理系数学を攻略するために青チャートの次にやるべき事を紹介していきます。

過去問を解きながら青チャートの基本例題を復習する

青チャートは網羅系参考書ゆえに問題数が多いですし、その演習にかなり時間がかかってしまいます。高3生であれば、北大過去問演習を後に回すのは得策ではありません。

そのため、青チャートを一通りやったのであれば、間に何かを挟まずとも、過去問演習に入ってしまって構いません。しかし、ただ過去問演習をするのではなく、適宜、青チャートの練習問題を復習しながら進めていくのが良いです。

理由は2つあります。

1つ目は、北大の過去問を解いた後に青チャートの基本例題の演習をすることで、北大に出そうな問題を意識して演習することができるからです。

2つ目は、北大理系数学において2022年・2023年が難化したと先ほど述べましたが、それでも青チャートの「基本例題」を解いておけば、対応できる小問も半数近く出題されているからです。

それらの問題を確実に取れれば、医学部医学科のように高得点勝負が予想される学科以外は他の科目のがんばり次第で合格点に達するでしょう。逆に基礎的な問題を落としてしまうと周りの受験生に差をつけられてしまうので、周りが取れるところで確実に点を取ることが重要になります。

また、他にも融合問題への対処や「推論」「証明」「論証」のトレーニングは「どの参考書で積んだほうがいいですか?」という質問もあるかもしれません。

「入試数学の掌握(エール出版社)」「大学への数学 解法の突破口(東京出版)」がその為の代表的な参考書ですが、これらの参考書に手を出さずとも合格点は取れますし、北大の理系数学の過去問演習や類題を出す大学の過去問演習を通じて徐々にそれらの力を身につけることができます。

北大側が「基礎的な計算力の低下」「問題文をよく読んで内容をしっかり理解して欲しい」と言っている部分を改善するだけでも、周りの受験生と差をつけることができるのです。

過去問とは別に青チャートの重要例題や演習例題を優先的に復習する

青チャートの「例題」には典型問題や頻出問題が並べられています。その中でも、「重要例題」「演習例題」であれば北大の理系数学と同程度の難易度の問題もあり、優先して復習しておくのが良いです。

たとえば、領域の図示についての「基本例題」は1変数のものしか見当たりませんが、「重要例題」だと2変数のものが登場します。以下の北大理系数学2022年の問題はまさに2変数の不等式です。

近年の北大理系数学の出題傾向からすると、「推論」「証明」「論証」の対策が必要なので、重要例題や演習例題に載っている少し議論が複雑な問題で練習をすると良いでしょう。

余裕があれば他に九州大と東北大の過去問を解く

過去5カ年の九州大学と東北大学の理系数学の過去問は、近年の北大の理系数学と同様に融合問題や「推論」「証明」「論証」を重視した問題を出題されています。難化した後の北大の理系数学によりアジャストする上で、出題意図が似ている九州大と東北大の近年4年分は演習価値が高いです。

青チャートのEXERCISESよりも九州大学と東北大学の理系数学の過去問演習のほうが価値があるでしょう。たとえば、以下の九州大学の問題は参考になります。

出題内容を分類すれば、いわゆる「三角形の形状」と題される青チャート「例題」にも取り上げられている問題ですが、多くの受験生は(2)の4次式が2次式に変わった問題を教科書や青チャートの例題で解いて来ていると思います。

もちろん、出題者側も教科書に2次式である場合の問題が掲載されていることを知った上で、4次式である場合を考えさせたいのです。2次式の場合の問題でどのように問題が解けているのかまで理解した上で、(1)をどう結び付けるのかについて推論させて解かせたいという出題意図が見えます。

このような問題は北大の理系数学でも十分出題される可能性があるので、余裕があれば演習しておくと良いでしょう。

まとめ

北大の理系数学は近年難化傾向にあり、「推論」「証明」「論証」の対策、融合問題への対応を完璧にするにはたくさんの時間がかかります。そのため、基本方針としては、青チャ―トの基本例題レベルの問題を確実に取れるようになることがまずは現実的な目標となります。

その上で余裕があり、もっと点数を取りたいと思っている場合には、青チャートの重要例題に絞って復習をしたり、九州大や東北大の過去問に取り組んだりすると良いです。

ここまで読んで頂きありがとうございまます。
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この記事を書いた人

百瀬 浩市のアバター 百瀬 浩市 理系のための大学受験塾SoRa 代表/塾長

埼玉県立所沢高校を卒業。現役で東京農工大学工学部に入学。(その他、東京理科大学理学部、明治大学理工学部、芝浦工業大学工学部、東洋大学理工学部にも合格)
大学在学中に大手予備校にて指導経験を積む。大学卒業後、地元の個別指導塾にて教室長を務めたのち、理系のための大学受験塾SoRaを立ち上げて現在に至る。

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