【2024年版】九大理系数学の対策 高2生が取り組んでおくべきこと
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九州大の理系学部を目指す高2生は、「高2のうちに数学の力をどのレベルまで到達させておけばいいのか?」「どんな問題が出題されるのか?」など漠然と不安に思っている人は多いのではないでしょうか。
2024年度における高2生は新課程のもとで学ぶ最初の学年ということもあり、新・旧課程での変更点への対応も含めて再来年の入試に向けての対策にも悩まれていることでしょう。
そこで今回は、九州大でどんな問題が出題されるのか、それに伴って九州大の理系学部を目指す高2生が高2のうちに数学でやるべきかについてお話しをしていきます。
九州大学理系学部の出題範囲や形式
前期日程の出題形式は下記の通りです(昨年までの範囲となっているので、実際の入試では変わる可能性もあります)
試験時間 | 150分 |
大問数 |
5題 |
形式 |
全問記述式 |
備考 | 各大問は小問2から4つから構成されます。2022年、2023年に大問4として「長文読解」と呼ばれる形式が登場しましたが、今後はこの形式の出題はないと考えて良いと思います。 |
1問につき30分かけられる記述式試験ということで、本格的な数学力が試されます。
また、他大学では数学Aの中にある数学と人間の活動という分野(「整数」分野)が除外されているケースがありますが、九州大では「整数分野」は出題範囲に入っています。
「入学者選抜方法の変更について」というページで新課程版の入試情報が更新されていくので、随時チェックをしておきましょう。
どんな問題が出題されるのか?
教科書の例題、青チャートの「基本例題」との比較
九州大学などの難関大は教科書の例題を基礎におきつつも、複数分野を融合したり、応用的な問題が出題されたりします。下の2022年の大問2が参考となるでしょう。
整式の割り算については高2で既に数学Ⅱで学んでいる人も多いと思います。教科書や青チャートの「基本例題」ではほぼすべての例題が3次式や4次式などの具体的な整式を扱っていたと思いますが、上記の問題はn次式を扱う出題です。また、極限の分野とも融合した大問でもあります。
このように、九州大学では、教科書の例題や青チャートの「基本例題」と比較すると、そこから1つ上のレベルの出題がなされています。
また問題文をよく見てみると、(1)において「存在命題」と呼ばれる問題が出題されています。「存在命題」とは「○○を満たす△△が存在する。」という形の命題のことを指します。例に挙げた問題で言えば、n次式に対して等式を満たす整式Q(x)などの存在を示すことになります。
教科書ではあまり「存在命題」をほとんど扱いませんが、九州大学などの難関大においては、これまでも「存在命題」を扱う大問が出題され、それをテーマにした対策が必要でした。
何を問う出題がなされるのか?
九大入試数学では、「推論」「証明」「論証」と呼ばれる3つの力を試す出題がなされると言っていいでしょう。「証明」は証明問題を解いていく力のことですが、それ以外の語は、ピンとこない人が多いのではないでしょうか。
まずは、「推論」という語を説明します。例えば大問が小問(1)(2)から成るとして、(1)と(2)がどう繋がるんだろうと頭の中でいろんなパターンを想像して解法を練り上げる過程を「推論」とここでは呼んでいます。下の2023年の大問1がズバリ「推論」の力を試す出題であり、参考となります。
いわゆる「三角形の形状」と題される教科書の章末問題や青チャートなどの参考書の「例題」にも取り上げられている問題です。
この問題では、⑴をヒントにしていかに⑵に結び付けるかがキーポイントになります。上記の問題の⑵では4次式が出てきていますが、青チャートや教科書に出てくる2次式のパターンの解き方が出てきます。
その2次式の解き方を理解していれば、(1)とどう結び付けるのかが計算を進めていくうちに明らかになっていくように問題が設定されています。
試験当日、4次式である場合の問題を解いて準備してきた受験生はほぼいなかったでしょうから、この大問は「推論」の力を問うていると捉える方が効果的な受験対策につながっていきます。
小問に分割された大問が出題される九大理系数学の入試問題の対策として、「推論」のトレーニングを積むのが正しい道です。
次に、「論証」とは自分自身で筋道を立てて論理的な説明を積み上げていく作業のことを指します。他の人にも分かるように、道筋を考え明らかにして論理的な解答を作ることを求められているのです。
先程述べたように、九州大の問題は小問分割されているため、⑴を足掛かりにして他の旧帝大の問題と比べると取り組みやすくはなっています。しかし、出題されている問題が小問分割されていなければ解けないような問題ばかりなので、小問分割されているとはいえ、鍛えておかなければいけない力です。
例えば、下の2023年の大問2はほとんどの人にとって教科書や問題集では見たことがない漸化式のタイプだと思います。ですので、自身で筋道を立てて収束・発散を示す説明を積み上げていくことになります。
1題だけ標準問題も出題される
2022年、2023年、2024年の大問5において数Ⅲ(積分法の応用)から標準問題が出題されています。標準問題というのは、教科書の例題や青チャートの「基本例題」を経験しておけば、どんな手順で解けばよいか見当がつくようなものを指しています。
2024年だと下のような大問が出題されました。2025年にも数学Ⅲの微積分から標準問題が出題されると思って、準備しておくのがいいでしょう。
このように本格的な数学力が複数の視点から試される九大入試数学の対策として、高2の間でどんな対策をすべきかを次の章でお話しします。
九大理系志望が高2のうちにやっておくべきこと
まず、シンプルに高2の間にやるべきことを書くなら、教科書の理解、青チャート(FocusGoldでも可)の「基本例題」の理解です。とはいえ、分量も多いので、具体的に優先順位をつけて説明していきます。
① 教科書の問題をまずは完璧にする
学校の毎回の授業で内容を理解できればすぐに青チャートの「基本例題」に入るのが理想です。しかし、その単元に出てくる公式の導出が出来なかったり、青チャートをやるのが苦しい単元があったりする場合には、教科書を読んでいきながら教科書の問題を解いていくのがおススメです。
このとき、教科書に載っている説明は必ず読むべきです。理由は、先述した長文読解の問題形式が、教科書を読んで理解していく工程と似ており、教科書に書いてある式の導出を丁寧に追うことがそのまま力になるからです。
教科書だけだと詳細な解答解説がないので、教科書ガイドも一緒に購入して進めることをおススメします。
② 青チャの「基本例題」を解けるようにしておく
近年の傾向として標準問題で落とすとまず合格点には到達しません。青チャートの「基本例題」は学校で習ったところまでは必ず解き切りましょう。①教科書を理解することと、②青チャの基本例題を解けるようにしておくことができれば、最初に説明した「推論」「証明」「論証」の対策に移ることができます。
まずは、この②までを最低ラインとしてやれることを目指しましょう。ここから数Ⅲや「推論」「証明」「論証」を扱う発展問題の対策をする時間がなくなってしまいます。重要例題もやれると良いですが、優先順位は落ちるので、まずは基本例題だけでも完成できるとよいでしょう。
しかし、「基本例題は解いてるんですけど、いざ模試を受けてみると点数が出ないんです。」と悩んでいる人もいると思います。
そういった人に伝えたいのは、青チャートやフォーカスゴールドなどの分厚い参考書を仮に3周したとしても例題を瞬殺できるほど理解できているとは限らないということです。むしろ、ほとんどの人は3周程度ではそこまではいかないはずです。なので、ある程度周回できることを前提に進めていきましょう。
また、図や途中式を書いて丁寧に論理展開を追うことが大事です。「解説に書かれているからそうしている」といった、論理が曖昧なところを如何に減らすかが重要になります。
➂ 「重要例題」「演習例題」にも挑んでみる
ここからは、出来ていたら良いよねというレベルの話になります。青チャートの「例題」は3種の「基本例題」「重要例題」「演習例題」に分かれて掲載されています。「基本例題」はおおよそですが教科書の例題と1対1に対応しています。「重要例題」「演習例題」はこれまでの入試問題の中での典型問題と呼ばれているものを集めているので、余裕があればやっておきたいところです。
④ 「EXERCISES」「総合演習」にまで手を広げる
実際は、高2のうちに青チャートの「EXERCISES」「総合演習」まで到達できるかは分かりませんが、特定分野、例えば整数分野だけでも解いてみましょう。九大では整数分野は頻出ですので、2025年には出る可能性は高いです。
まとめ
高校2年生のうちは部活をしながらだと定期テスト対策ですら大変かもしれません。しかし、高3の4月の段階で青チャートの「基本例題」も理解していない状態だと、数学だけでも数百時間遅れを取ることになってしまい受験対策が間に合いません。
学校で習ったところまで良いので、高2の3月までに少なくとも「基本例題」の解き直しまでは終えておきたいところです。
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