【2024年版】名古屋大の理系数学の傾向と対策 攻略のための勉強法

名古屋大の理系数学において
どんな問題が出題されるのだろうか
自分が解けるレベルまで到達できるのだろうか
など漠然と不安に思っている人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、名古屋大の理系数学でどんな問題が出題されるのかや、名古屋大の理系数学を攻略するにあたっての勉強法ついてお話しをしていきます。

目次

名古屋大学理系数学の出題範囲・形式について

出題範囲(前期日程)
情報学部自然情報学科、情報学部コンピュータ科学科、理学部、医学部医学科、医学部保健学科、工学部、農学部

・数学Ⅰ、数学A、数学Ⅱ、数学Ⅲは全範囲から出題
・数学Bは「数列」から出題
・数学Cは「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」から出題

試験時間 150分

問題数

大問4題
出題形式

各大問は小問2~5つで構成
※これまで一部の年度では、小問分割されてないものも出題

 頻出分野

確率、数Ⅲ微積分、数学C複素数平面

※名古屋大学HP内の一般選抜の実施教科・科目等(令和7年度選抜)を参照。2024年3月29日時点の情報です。

個別学力検査(2次試験)においては、問題文とともに数学公式集というものが配られます。この公式集を見たい方は、名古屋大学HP内の「入試問題および正解・解答例等」というページ内の各年度の問題文のpdf file内に収録されていますので、ご覧ください。

どんなレベルの問題が出題されるのか?

近年の名古屋大学の入試数学においては、教科書の例題に基礎をおきつつも、それらから発展・融合したような出題がなされます。

難易度が標準のものと難問に分類される大問が出題されますが、いずれも考察力が必要とされ、ここが教科書の例題、青チャートの「基本例題」と異なるところです。ここで、「考察力」とは各小問どうしの繋がりを発見したり、問題の言い換えをするなどして解法の糸口を発見したりする力のことを指します。

また、大問4つというのは他の旧帝国大学と比べて少なく、1つの大問に平均すると37.5分かけられます。名古屋大理系数学は2007年度までは大問数は4で120分という試験形式でしたが、その後はずっと大問数4で150分の試験時間となっています。これは、一問をじっくり考えさせたいという意図が窺えます。

大問内の小問(1)においては確かに基本を問う出題がなされますが、どの大問においても小問(2)以降は見てすぐに方針が立つ小問は少なく、教科書の例題や青チャートの「基本例題」に似たような出題はありません。

近年は、大問4に難問が配置されていますが、この傾向は来年度にも続くでしょう。分野は確率と数Ⅲ微積分と数学C複素数平面からよく出題されます。

何が問われているのか?

名古屋大発表の文書から読み取れること

名古屋大学はHPにおいてここ3カ年分の文書「令和〇〇年度 一般選抜(前期日程)の試験問題 出題の意図」(リンク先は令和5年度ですが他の年度もあります)を発表しています。大問ごとの出題意図が公表されています。どの年度も短い文章ですが、「基本の理解」「考察力」「論証力」が名古屋大側から求められていると言っていいと思います。

「基本の理解」を問う問題

この「基本の理解」というのは、教科書の用語を理解し、教科書の例題が解けることを指すと考えて良いです。実際、近年の名古屋大理系数学においては、各大問の小問(1)が易しいもので、これは教科書の理解を問うているものと言えます。

そして、小問(2)以降であっても、あくまで教科書の内容を発展させた出題であるので、対策としてはまずは「基本の理解」を最優先させたいです。他にも出題意図の中には、「問題文を理解し」とか「問題設定を理解し」などの表現などの語が並びます。予想を超えて、基本的なところで差がついていることが分かります。

「考察力」を問う問題

次に「考察力」についてですが、この力を露骨に問おうとする出題は他大学ではあまりなく、名大理系数学特有の出題傾向と言っていいと思います。先ほども述べたように、ここで「考察力」とは各小問どうしの繋がりを発見したり、問題の言い換えをするなどして解法の糸口を発見したりする力のことを指します。

「考察力」を要する出題に関しては、下の2024年度の大問2が参考となるでしょう。複素数平面からの出題ですが、因数定理や共通解の知識も問われています。

※名古屋大学 数学(理系) 2024年度入試 大問2

(複素数平面を習っていない人は問題の雰囲気だけでも味わってもらえればと思います)

この小問(2)を解こうとすると、単に因数定理を使って解く問題ではないことに気付くはずです。αの極形式を求めてみるとか、小問(1)との繋がりはないかなど想像して解法を練り上げることにより、ようやく答案が作成できます。小問(3)も同じく前問までとの繋がりを考察することにより答案が作成できます。

単に教科書のいくつかの単元を融合した出題ではなく、「考察力」を要するような出題となっています。

「論証力」を問う問題

「論証力」とは、自分自身で筋道を立てて論理的な説明を積み上げていく力のこと指しています。これは、小問分割が実質誘導になっている場合と比較すれば分かりやすいと思います。

誘導に従って解く場合は自分で筋道を立てる必要はありませんが、「論証力」を試す大問の場合は自分自身で筋道を立てて論理的な説明を積み上げていかねばならず、後者のほうがずっと難しいのです。名大理系数学においては、しばしば大問4にて問われます。

「論証力」を要する出題に関しては、毎年度1題は出題されていますが、例えば下の2022年度の大問4が参考となるでしょう。

※名古屋大学 数学(理系) 2022年度入試 大問4

(数Ⅲの積分法を習っていない人は問題の雰囲気だけでも味わってもらえればと思います)

数Ⅲ積分法からの出題と言っていいと思いますが、具体的な関数ではなく、抽象的な関数を扱った問題であって、小問(1)ですら完答できない受験生が居たであろうと思います。小問(2)においては存在を示すために中間値の定理を使いますが、問題文に「中間値の定理を使って示せ」と書かれていれば解答の方針になりますが、その方針の選択すら受験生に委ねられています。

名古屋大学の難しさが高1生でも分かる問題例

先ほど、「一問をじっくり考えさせたいという意図」と書きましたが、それについて数Ⅲを習っていない人でも分かるような問題を補足します。名古屋大理系数学においては下の2019年の大問3のような、受験生にとって初見に近い出題がなされます。

※名古屋大学 数学(理系) 2019年度入試 大問3

出題分野は、約数でも倍数でも1次不定方程式からでもないものです。こういう出題により、一問をじっくり考えさせ、その受験生の思考力を測りたいのでしょう。小問(1)は中学生でも答えだけなら見つけられるかもしれませんが、いざ答案作成をし始めるとなかなか説明が難しいかもしれません。

名古屋大学理系数学を攻略するための勉強法

難問が出題される名古屋大理系数学であっても、対策としてはまず「基本の理解」から始めることになります。難問に分類される大問の対策は高3の夏頃から開始することにして、高3の3月までは、数ⅢCまでの教科書の用語を理解し、教科書の例題が解けることを目指しましょう。

1. 教科書を進めて用語を理解していく

これは定義を理解することと言ってもいいと思います。上掲の2022年の大問4の問題文に「連続関数」「増加関数」の2つの用語が登場しました。どの数Ⅲの教科書にも取り上げられている用語ですが、これらを正しく説明できるかというとそうでない生徒が多いです。

すぐにチャートなどの問題集を解き始めたい気持ちも分かりますが、まずは教科書の用語を正しく説明できるか・使用できるかを確認しながら教科書を進めて行きましょう。教科書には練習問題の解説が載っていないので、教科書ガイドを購入して進めていくことをオススメします。教科書で学ぶ基礎の上に応用力が積みあがっていきますので、すぐに取り掛かってましょう。

2. 青チャートの例題を覚えてしまうくらい繰り返す

用語などの基本的な概念を理解できたら、青チャートの「基本例題」を繰り返し解いてみましょう。

特に「教科書の例題の数値を変えただけの出題なら点数は取れるけど、模試となると途端に手が出ない。」といった状態に留まっている人ほど、青チャートの例題レベルを繰り返し解いてほしいです。

繰り返し解くと結果として覚えてしまうことになりますが、ここで大切なことは、覚えようとするのでなく、結果として覚えてしまう状態になるということです。覚えることを目的してはダメです。繰り返すことにより見えてくるものもありますので、まずは「基本例題」を繰り返し解いてみましょう。

この「基本例題」を繰り返し解く作業を高2の2月頃までやり終えておくと、高3における戦略を立てやすいのです。具体的には、3月から受験学年用の問題集に取り掛かることができますので、この作業には一番力を入れて欲しいです。

3. 基本例題をマスターした後は重要例題を解く

教科書には取り上げられていないが、受験問題としては典型であるというものがあり、それらは青チャートの「重要例題」で取り上げられています。たとえば、名古屋大学で頻出の確率漸化式も、青チャートの「重要例題」で取り上げられます。

まずは基本例題をマスターすることが優先ですが、余裕のある人、あるいは、数学を得点源にしたいという人は、高2生のうちに青チャートの「重要例題」「演習例題」に挑んでみるのがいいでしょう。

4.考察力を鍛えるためにEXERCISESを解く

青チャートには各単元末に「EXERCISES」と名付けられた例題と関連する問題が数題載っていて、入試問題の過去問やその改題から選ばれています。教科書の例題から発展した出題となっていて、小問分割されたものもあります。

これらの問題は、「考察力」「論証力」を要する問題の演習を積むにはぴったりの内容となっています。難易度は、名大理系数学と同等のものが並んでいます。演習価値のある問題ばかり並んでいるのですが、高3生の段階で「EXERCISES」を使った演習にたどり着けていれば充分でしょう。

余裕があれば、赤チャートの「総合演習」だけを解くとか新数学演習(東京出版)に挑むとか別の問題集に手を広げることになります。ただ、それも高3になってからでいいでしょう。

まとめ

名古屋大学の理系数学では、「基本の理解」「考察力」「論証力」を問う問題が出題されます。これらの問題を攻略するにあたって、まずは教科書の内容を読んで基本概念と教科書例題は解けるようにしましょう。

教科書の内容が理解できるようになったら、青チャートの基本例題を繰り返し解いて覚えてしまうレベルまで問題を解きましょう。高2の2月ごろまでにここまでを出来るようにしておくと理想です。

その後は、青チャートの重要例題、演習題と取り組み、EXERCISESで考察力や論証力を問われるような問題に取り組んでいきましょう。

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この記事を書いた人

百瀬 浩市のアバター 百瀬 浩市 理系のための大学受験塾SoRa 代表/塾長

埼玉県立所沢高校を卒業。現役で東京農工大学工学部に入学。(その他、東京理科大学理学部、明治大学理工学部、芝浦工業大学工学部、東洋大学理工学部にも合格)
大学在学中に大手予備校にて指導経験を積む。大学卒業後、地元の個別指導塾にて教室長を務めたのち、理系のための大学受験塾SoRaを立ち上げて現在に至る。

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