【2024年版】北大理系数学の対策として高2生が取り組んでおくべきこと
理系の北大志望の高2生が数学でやるべき勉強をお伝えしていきます。どんな問題が出題されるかや、新・旧課程での変更点への対応も記載しています。それでは始めていきましょう。
【この記事を読むべき人】
- 北大の理系学部に絶対に合格したい高2生
- 北大の理系数学のレベルを知りたい高2生
- 北大の理系数学に向けて何をしたら良いか分からない高2生
【自己紹介】
I・T先生
「理系のための大学受験塾SoRa」の数学【カラ破り】コース主任。京都大学理学研究科数学・数理解析専攻修士課程修了。現在は、5つの大学で数学の授業を受け持ち、大学生に数学を教える傍ら、SoRaの難関大志望者の指導にもあたっている。2023年には指導した生徒で北大総合理系の合格者も輩出している。
北海道大学理系学部の数学の出題範囲・形式
北大理系数学の出題範囲は北大HP内の「入試の変更について(予告)」からご覧ください。ここでは以下の注意点に絞って内容をお伝えします。
- 今後、出題範囲が変更される可能性がある
- 整数の性質を学ぶ単元「数学と人間の活動」からの出題はない
注釈にて、今後の出題範囲が変更されるかもしれない旨が書かれています。また、整数分野を学校で習った人もいるかもしれませんが、北大の理系数学では出題されない予定です。
次に、出題形式についてです。北大理系数学は前期日程が、試験時間120分で5題、全問記述式で、各大問は小問2~4つで構成されます。
試験時間 | 120分 |
大問数 | 5問(各大問2~4つで構成) |
出題形式 |
全問記述式 |
備考 | ※ 数学と人間の活動(整数分野)からの出題予定はなし ※ 今後変更の可能性あり |
どんな問題が出題されるのか?
① 2022年から難化している
実は2022年・2023年と北大理系数学の問題は難化しており、これは他の旧帝大と歩調を合わせるかのような難化傾向でした。
2024年にいったん標準問題が並ぶ出題となりましたが、他の旧帝国大は九大以外は難化したままだったので、2025年には再びやや難から難問が数問並ぶ可能性があります。
難化した年は、以前よりも解答を論理的に記述する力が求められるようになりました。
おそらくは、文科省が新・旧課程の教科「数学科」で掲げている「思考力」「判断力」「表現力」を問うているのでしょう。作問者側からすると変化させただけであっても、受験生には難化したように感じるはずです。
② どのような力を北大から求められているか
北海道大学HPにある「令和6年度一般選抜学力検査等の試験問題及び正解・解答例等について」の文書から、その年の受験生への北大の指摘内容を確認できます。ここでは、その要点をまとめました。
- 基礎的な計算力の低下
- 問題文をよく読んで内容をしっかり理解して欲しい
- でたらめな議論では、たとえ答えが正解であったとしても0点である
- 受験生本人にしか理解できないような記述が多く見られた
このことから、北大受験生の多くが記述式試験への対策ができていないことが分かります。他にも、「条件付き確率の定義の理解を問うている」「数列の一般項を求める典型的な問題」といった文言があり、基本的な内容を問う出題意図があったと読み取れます。
ただ、令和7年度(2025年)入試においてもそのような出題になるとは限りません。やや難から難の大問も1,2題並ぶであろうという予想のもとに準備を進めていくのが現実的です。
参考の為、やや難から難の出題があった年度の文書にも目を通してみましょう。令和5年度の文書内には「推論」「証明」「論証」などの語が登場します。この3つの力を試そうとすると、当然ながら、その年度の入試問題は難化してしまいます。2025年入試においても、この3つの力を試そうとする出題がなされると予想します。
さて、「証明」という語については、普段みなさんが解いている証明問題を解く力と言って差し支えありませんが、「推論」と「論証」は聞きなれない言葉だと思います。
具体的に説明すると、推論とは、見慣れない問題であったとしても問題文を読んで、問題の条件を整理し、解法を予想していくことを指します。もう一つの論証とは、自ら思いついた解法を論理的に簡潔に記述し伝えることを指します。
つまり、北大の試験では、普段見慣れない問題に対してこれまでの経験や問題条件から解法を推論し、その考えを明確に論証、あるいは証明することが求められているのです。
その他にも、「融合問題」という記述があることから、出題者が複数の分野にまたがるような融合問題を意図して出題していることが分かります。
たとえば、2022年に下のような完答の難しい融合問題が出題され「推論」と「論証」の力が試されました。
この問題は、分類すれば「絶対値のついた2次関数」となり、教科書や青チャートの「基本例題」に掲載されているもので解いたことのある受験生が大半だったでしょう。どうやって最小値mをとらえるかを思考し、論証を積み上げていく問題となっています。
出題者側は、「絶対値のついた2次関数」が教科書の例題で取り上げられていることを知った上で、2文字a, bが入った絶対値のついた2次関数を絡めた最小値をこれまでの経験から「こういった解法でできるのでは?」という「推論」をさせたいのです。
小問(1), (2)が親切な誘導となっているのですが、頭の中でこうだろうと浮かんでも実際に数学的に意味の通る文章にして「論証」していくのには、それなりに問題の経験を積む必要があります
さてこれで、やや難から難の出題としてはどういった作問がなされてきたのかが分かってきたかと思いますが、ではどのようにして勉強していけばいいのでしょうか。次のパートで具体的に説明していきます。
北大理系数学の対策として高2生がやるべきこと
① 青チャートやフォーカスゴールドの「基本例題」を理解する
北大の理系数学の難しさを要素に分解して伝えてきましたが、それでも青チャートやフォーカスゴールドに載っているような基本的な解法や知識を身に付けることが重要です。
理由は、北大の試験が難しくなったといっても、基本的な解法を組み合わせた典型問題も出題されているからです。特にそういった典型問題を解けるようにならないと、難化した試験では逆に基礎的な問題を落としてしまうことで差がついてしまうのです。
また、北大の数学の難しい問題にチャレンジするにしても、基本的な解法が頭に入っていなければ当然のことながらその対策の勉強をしていくのですら困難になってしまいます。
本音を言えば、数Ⅲ・Cまで高校2年の3月までに一通り終えておくのが理想的でしょうが、これは高校の進度に依存してしまうので、無理に先どりしなくともよいと思います。それよりも、「基本例題」を解き終わったら、「重要例題」「演習例題」に進み、履修済みの範囲だけでもいいので高2の12月までを目安に例題を一通り解いておきましょう。
② 推論や証明、論証の力を身に付ける
最後にここからの話は、青チャートやフォーカスゴールドの例題を順調に進められている人や数学が得意で差をつけたいと考えている人向けの話しになります。
よくよく眺めていると、北大も含めて難関大の入試問題では、「証明せよ」「必要十分条件を求めよ」「少なくとも1つ存在することを示せ」「ただ1つ存在することを示せ」といった文言が登場します。
そして、その文言が難しさを高める要因になっていることにも演習を進めていくうちに気付いてくるはずです。北大でも頻繁にそういった文言の入った出題がなされてきており、例えば、2023年には下のような出題がなされ、小問(1), (3)にそれらの文言が現れています。
青チャートやフォーカスゴールドの例題を解いていきながら、こういった文言の入っている章末問題を定期的に解いていくことで、推論や証明、論証の力を高めることができます。
こういった問題に対処できるようになるために、たとえば青チャートならEXERCISES・総合演習内の「証明せよ」「必要十分条件を求めよ」「少なくとも1つ存在することを示せ」が登場する問題のみを選択して解くなどの演習を進めると良いでしょう。
まとめ
北大の理系数学の試験は近年難化傾向にあり、だからこそ、基礎的な解法や知識の習得が重要になってきます。北大の理系志望の高2生は、数Ⅲ・Cまで高校2年の3月までに一通り終えておくのが理想的ではありますが、履修済みの範囲だけでもいいので高2の12月までを目安に例題を一通り解いておきましょう。
また、余裕がある人は、推論や証明、論証の対策として、青チャートやフォーカスゴールドの章末問題にある「証明せよ」「必要十分条件を求めよ」「少なくとも1つ存在することを示せ」といった文言が登場する問題の演習を進めていきましょう。
ここまで読んで頂きありがとうございまます。
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