「英語が伸びる気がしない…」の原因は、日本語にあるかもしれません

「英語が伸びる気がしない」という相談をよくいただきます。
ただ、英語の成績が伸びない理由は人それぞれなので、一概に「これだ!」と特定することは不可能です。なので、今回紹介するお話も全員に当てはまるお話ではありません。
ただ、そういった悩みを抱えている方の中で、
- 英検2級くらいまでは何とかなったけど、英検準1級は全く歯が立たなかった
- 大学入試の英文が全く頭に入ってこない
- 英文の内容を理解したと思ってたら、全然違う内容だったということがよくある
と感じている方がいらっしゃれば、もしかしたら今回のお話が少しでも参考になるかもしれません。
そういった方々への学習のヒントになるような記事になれば幸いです。
先日での授業の話
まず、実際の事例から見ていきます。実際に自分が当てはまるかをぜひ見てみてください。
ある生徒の授業で以下のような英文を扱いました。
It seems strange that Susan is so shy, considering her family.
英検準1級の英文です。
日本語に直訳すると、
「スーザンがあんなに内気だなんて不思議だね、彼女の家族を考えると」
という意味になる文です。
この文を英語で伸び悩んでいる生徒さんと一緒に読んでいたのですが、その子は、この文を
「スーザンはとてもshyのように見える。彼女の家族が考えるに」
と訳していました。
正解と見比べていただくと分かりますが、全然違う内容になっていると思います。
どのようにしてこの文を読んだのか(前半)
まず、前半部分。
It seems strange that Susan is so shy,
のところを、どう訳したかを生徒に聞いてみると、
seems → 「~のようだ」
と捉えて、次の strange を読み飛ばして、
Susan is so shy → 「スーザンはとても内気」
と読んでいるようでした。
そして、
「~のようだ」と「スーザンはとても内気」をくっつけて、
「スーザンはとても内気のようだ」
と訳したとのことでした。
strangeの訳が抜けているのも気になるのですが、それ以上に気になったことがあります。
自然に前から読んでいった時に、It seems ~と読んだ時点で、itがseemsの主語だと認識できていないのが非常に気になりました。
「It seems〜」と読んで、『Itって何だろう?』と0.1秒くらい思ったのちに、「It seems strange that ~」のthatを見て、『ああ、that以下のことを指しているのね』となってほしいわけです。
でも、その思考ができていなかったわけです。
おそらく、特徴的な単語(自分が知っている&意味が明確な単語)に飛びついて、以下のように見えていたのかなと思います。

英文を見ているようで実はちゃんと見えていない感じですね。
「strange」が抜けていたのも、おそらく脳内ですぐに変換するほどすぐには意味が出てこず、視界の中から消えてしまったのかなと思います。
どのようにしてこの文を読んだのか(後半)
次に、後半部分。
,considering her family.
後半部分は、
「彼女の家族が考えるに」
(正しくは、「彼女の家族を考えると」)
と訳しておりました。
これも、聞いてみると、
considering → 「考えている」
her family → 「彼女の家族」
を合体させて、「彼女の家族が考えると」という訳になったと教えてくれました。
これも前から読んでいった時に、英語の語順のルールを適用しながら読むことがおそらくできていないのだと思います。
つまり、英文を頭から順に読んでいきながら①から④のような思考が瞬時にできていないと考えられます。
,considering her family.
① 👀(目線):considering(〜を考えると)
② 🧠(脳内):『何を?』
③ 👀(目線):her family(彼女の家族を)
④ 🧠(脳内):『彼女の家族を考えると』
読み方がそもそも違っているかもしれない
このようにして見ると、この生徒さんは英語ができないように思えるかもしれませんが、この生徒さんは英検2級を保持しています。
英検2級における高校生の合格率は約27%です。世間一般で言ったら、間違いなく英語ができる方に分類されると思います。
そんな試験を合格していても、こういった読み方をしている可能性があるのです。
※英検2級合格者全員がそうだと言っている訳ではないので悪しからず。
つまりは、そういった生徒さんでも英検2級くらいまではゴリ押しで解けてしまうという現実があるのです。
しかし、英検準1級や入試レベルの学術的な文章になると途端に全く読むことができなくなってしまいます。
日本語を読む段階から改善する必要がある
こういった読み方を改善するのは非常に大変です。
まず、それまでの読み方の癖をなくす必要があります。そのため、自学ではなく、一緒に伴奏をしながら、読み方の訓練を徹底する必要があります。
そして、こういった読み方をしている生徒さんは日本語でも言葉の関係性を理解することが苦手であるケースが多いです。
難解な英文を読む際に、どうしても動詞に対する主語や目的語は何かを考える必要があります。
しかし、それは日本語でも同じです。たとえば、実際の生物の教科書に出てくる一文を見てみましょう。
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
上記の文を読んだ上で、
「セルロースは何と形が違うか?」
という問題が出たとします。
よく読んで頂くと分かりますが、
答えは、
「デンプン」
です。
このとき、セルロースの近くにあるグルコースだと思ってしまったり、文頭にあるアミラーゼだと思ってしまったりする場合がよくあります。
このように、他科目の教科書などの小難しい文を読むときにも「誰が」「何を」「どうするのか」に注目して読まなければ内容が入ってきません。日本語において、そういった思考ができていない生徒さんが、英語でやろうとしてもそれはできないわけです。
以上のことを踏まえて、具体的にやれることは以下のとおりです。
① 日本語の文章を読むときに「誰が」「何を」「どうする」を意識
まずは日本語の文章から「誰が」「何を」「どうする」を頭の中で想像し映像化することがまず大事です。
その訓練を常日頃からやった上で、英語においても、同じように考えます。
ただ、そういった思考ができているかを自分で確認するのは不可能なので、必ず塾の先生などに自分の認識が合っているかを確認してもらうことが何より大事です。
② 英語の語順に注意して音読
英語では、「誰が」「どうする」「何を」という語順になることに注意した上で、物事の関係性を想像して映像化することが大事です。
その語順に慣れる、意味を掴む訓練として、音読が有効です。
音読はただ英文を読み上げるわけではなく、「誰が」「どうする」「何を」というような英語特有の語順から意味を受け取ることを意識して行いましょう。
まとめ
このように英語が伸び悩んでいる原因は、もしかすると読めていると思っている日本語でも起こっている現象が原因になっているかもしれません。
その場合、普段の読み方を変えなければなりません。そんなにすぐに成果の出るものではないので、コツコツとやっていくしかありません。当塾ではそういった生徒さんの指導も行っております。気になる方はぜひ無料相談・無料体験授業をお申し込みくださいませ。