【化学が苦手な高校生へ】最短でわかる高校化学の勉強法

こんにちは、理系のための大学受験塾SoRaの百瀬です。今回は、高校生の悩みの種の1つである「化学の勉強法」について理系専門塾の塾長が徹底的に分析し、解説していきます。

「化学って覚えることが多すぎる」
「問題を解くたびに式の立て方が分からなくなる」

多くの高校生が一度は経験する悩みです。

しかし、正しい勉強法と順序を押さえれば、化学は決して難しい科目ではありません。この記事では、高校化学が難しいと感じる3つの理由と、誰でも実践できる克服のコツをわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事を読むべき人】

  • 定期テストで化学の点数が取れない人
  • 化学が苦手で何から勉強すればいいかわからない人
  • 科目選択で化学を選択するか迷っている人
  • 化学の参考書を買おうか悩んでいる人
  • 化学を得点源にしたい理系志望の高校生/受験生

【自己紹介】
百瀬 浩市
理系のための大学受験塾SoRa/個別進学塾TaNeの代表。
自らも生徒指導にあたり数学・物理・化学・英語と幅広い科目を指導。理系の道に進みたいけど、数学が苦手な子の助けになれるよう日々邁進中。高校のときの有機化学の面白さに惹かれて、東京農工大学 工学部 有機材料化学科に入学。

目次

高校化学が難しい理由|多くの生徒がつまずく3つの原因

高校化学は、多くの高校生にとって最も難しい科目の1つです。実際当塾でも化学に苦手意識をもつ生徒は非常に多く、定期テストや模試で点数が安定しないという相談を数多く受けます。

しかし化学は、正しい勉強法と順序を踏めば着実に習得できる科目です。まずは化学という科目の特性を理解し、どのように学習を進めていけばよいのかを知ることが、克服への第一歩となります。

ここからは、こうした背景を踏まえながら、多くの生徒が化学でつまずく3つの原因を具体的に解説していきます。
ぜひ自分がどの段階で行き詰まっているのかを確認しながら、今後の学習改善のヒントにしてみてください。

原因1:暗記と演習のバランスが複雑

高校化学で多くの生徒が最初に戸惑うのが、「演習すべき内容と暗記すべき内容のバランス」です。

最初は、原子の構成や化学結合、実験器具の名称などを中心に、暗記項目が多く登場します。ところが、学習が進むにつれて急にモル計算や反応量の計算といった計算問題が増え、暗記中心から計算中心へと一気にシフトします。

さらにその後は、「酸化還元反応」「中和反応」「化学平衡」「有機化学」など、暗記と計算が複雑に入り混じる単元が続くため、どのように勉強すればよいのか分からなくなってしまうわけです。

「これは覚えるべきなのか」「なぜこの式を使うのか」と迷っているうちに、理解が追いつかなくなってしまう。これが、化学を難しいと感じる最初の大きな壁です。

原因2:「化学基礎」と「化学」が分断されている|全体像が掴みにくい

学校教育のカリキュラム上、「化学基礎」と「化学」は別教科として扱われています。
これは、学習内容を段階的に整理するという点では合理的ですが、かえって化学の全体像が見えにくくなるという大きな問題を抱えています。

本来、化学は「物質の性質や変化を、原子・分子のレベルで理解する学問」です。
しかし、授業では「化学基礎」で原子や結合などの基本概念を暗記し、次の「化学」では突然、反応式や平衡・電池といった高度な内容に入るため、「何のために学ぶのか」という目的が置き去りになってしまうわけです。

知識のつながりが見えにくくなると、化学を「単なる暗記科目」として認識するようになってしまいます。これこそが、科学に対する苦手意識を増幅する最大の原因といえます。

原因3:高校化学の問題を解く上で最も重要なことを誤解している

定期テストであれ受験であれ、高校化学の問題を解く上で真に重要なのは、

問題文で書かれている内容を正しく整理し比例関係を用いて立式する

です。しかし多くの生徒はこの核心を見落とし、「知識を覚えていない」「立式の仕方がわからない」「どの公式を使えばいいのか思い出せない」と悩み問題集の解答を覚える学習に陥ってしまいます。

こうした勉強法では、「なぜその式を使うのか」という根本的な理解が得られないため、少し条件が変わっただけで手が止まり、どんどん苦手意識が強くなります

最初に述べた「暗記と演習のバランスが崩れる」という原因①と結びつき、結果として化学そのものが「嫌いな科目」になってしまうわけです。

化学の成績を爆伸びさせる勉強方法|失敗しない勉強の順序

ここからは上記で説明した化学の失敗しやすいポイントを克服し、確実に成績を向上させるための勉強法について解説していきます。

その前に一つ皆さんに質問です。

「よし、次のテストは化学で点数を稼ぐぞ」「化学の受験勉強を本腰入れて頑張ろう」と決意した時に、皆さんは何から始めるでしょうか。

学校で配布された「セミナー化学」や「リードα」を手に取り、要点を見て問題に着手し始めるパターンが多いように見受けられます。

この順序こそ「化学を好きになるか嫌いになるか」の分かれ道です。以下に示す勉強法を参考にして、皆さん自身の学習順序を照らし合わせてみてください。

ステップ1:何を学ぶのか明確にせよ!参考書で全体像を把握する

化学の成績を確実に向上させたいなら、まず参考書で全体像を理解してください。セミナーやリードαのような学校で配布された演習用の問題集から始めるのは危険です。

これらの問題集は、もちろん高校1,2年生の定期テスト対策から受験対策まで、一貫して活用できる優れた問題集です。しかし、これらの参考書は、最初のステップとして最適ではありません。

どうしても問題数が多く、「スラスラ解けない」「できるようになる感覚がしない」という悪循環に陥ってしまいます。

そうならないために、まずは「宇宙一わかりやすいシリーズ」や「Doシリーズ」などの説明系参考書で単元の特徴を掴む必要があります。この際重要なのは、

各単元の序盤に書かれている内容を掴む

ということです。「内容を理解せよ」と言われても、どうしても私たちは数式で解けるか解けないかを判断してしまいます。

まずは意識的に「この単元でやっていることは何か」を明確にしましょう。

こうすることで、先述の原因①「暗記と演習のバランス」を保ち、原因②「全体像が掴みにくい」を解決していくことができます。

1日の化学の勉強を始める前に、必ず序盤に書かれている内容を読み、目的意識をしっかりと持つことが重要です。

ステップ2:知識に優先順位をつけろ!

ステップ1では、化学を習得する際には「『何を学習する範囲なのか』という目的意識をしっかりと持ち、全体像を把握することが重要」と紹介してきました。

これを意識するだけでも、化学を嫌いになる可能性は大きく低くなると思います。しかし実際に成績を伸ばすためには、全体像だけでは不十分です。

次に重要になることは、「いかに知識を整理するか」です。知識を整理する際に最も重要なことは

知識に優先順位をつけること

です。化学が苦手な高校生ほどやりがちなのが、全部覚えなきゃ….という完璧主義的な勉強 です。「これから化学の勉強を頑張るぞ!」と気合を入れれば入れるほど、このようなNG勉強パターンに陥ってしまいます。

各単元の参考書に書いてあること全てを暗記しようとすると、結局「何を学習する範囲なのか」見失ってしまい、太字で強調された用語や公式だけを覚える学習になってしまうわけです。

したがって単元を学習する時には、書いてある情報を以下の3つに分類することが重要です。

STEP
「直感的に理解できる当たり前のこと」を確認する

新しい単元を学習するとはいえ、全部がまったく新しい情報というわけではないはずです。
まず自分が知っている内容や、別に言われなくてもわかると判断できるものを探し出します。

それらの言葉の定義に、自分の解釈と齟齬がないかをサラッと確認しましょう

これらの土台は、知らなかった知識やその分野の「本質」を理解する際に、皆さんの記憶を支える軸となります。

STEP
「この分野で欠かせない単元の本質」を理解する

次のステップで重要なのは、「この分野でいちばん大事な考え方は何か?」を1つに絞って言語化することです。
たとえば酸と塩基なら「H⁺とOH⁻のやりとり」、酸化還元なら「電子の授受」というように、その単元を一言で言い表す軸を作るイメージです。

その際に、公式や細かい定義をいきなり覚えるのではなく、「なぜその公式が必要なのか」「何を説明したくてその概念が生まれたのか」というストーリーに注目することがコツです。

本質となる一文が頭の中にあるだけで、新しく出てくる細かい知識が全てその周りに整理され、暗記に頼らなくても理解しやすくなります。

STEP
「本質から派生した細かい知識」は徐々に覚えていこう

本質がつかめたら、そこから枝分かれしている細かい知識を少しずつ足していきます。
たとえば、酸と塩基であれば、物質がどのくらいH⁺とOH⁻を出すかという「価数」の概念や、どのくらい電離するかという「電離度」を付け足していきます。また酸化還元では、多くの高校生がつまずく半反応式もこの枝分かれした細かい知識に分類されます。

この段階で意識すべきは、「最初から全部を完璧に覚えようとしないこと」です。
「この知識は、さっき考えた本質とどうつながっているのか?」という関係性を押さえ、細かい数字や名称は問題演習の中で何度も出会いながら少しずつ定着させていけば十分です。

この3つのステップを意識して知識を整理していくだけでも、化学に対する負担感は大きく減ります。むしろ、「思っていたほど覚えることは多くない」と感じ始めるはずです。

ぜひ、点だった知識を線で繋ぎながら、自分の中に「化学の攻略法」を構築していってください。このやり方が身につけば、どんな単元でも迷わずに進めるようになり、化学が確実に得意科目へと変わっていきます。

ステップ3:問題集と参考書を往復せよ!

ステップ1〜2で得た知識を実際に活用し問題を解けるようにしていくステップになります。このステップで大切なことは「問題演習しながら都度参考書に戻り、抜けていた知識を習得し直す」ことです。すなわち、

  • 問題の中で、何がわかっていて、何がわからなかったのか?
  • わからなかったことは細かい知識か?本質か?
  • 参考書のどの部分を読み返し、どのように紐付けすれば覚えられるか?

というように進めていくことが重要です。1問の問題からできる限り多くの知識を整理して、習得することを心がけましょう。

また問題集を解く際には、抜けている知識があることを前提に進めていくこと重要です。問題を解いて初めて、自分が理解していなかった部分や覚えきれていない知識が明らかになります。

この弱点を1つずつ拾い上げ、参考書で確認し、再び問題に戻って確かめる。この往復が高校化学を攻略するための学習法になります。

まとめ

ここまで化学を最短でわかるようになるための勉強法をお伝えしてきました。
今回ご紹介したのこと以外に、化学を得意にするには、計算の練習が必要不可欠となります。

ただ、化学の取り組み方を変えるだけでも、化学の見え方が変わってくるはずです。
ぜひ、今回紹介したことを意識して化学を得意にしましょう。

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この記事を書いた人

百瀬 浩市のアバター 百瀬 浩市 理系のための大学受験塾SoRa 代表/塾長

埼玉県立所沢高校を卒業。現役で東京農工大学工学部に入学。(その他、東京理科大学理学部、明治大学理工学部、芝浦工業大学工学部、東洋大学理工学部にも合格)
大学在学中に大手予備校にて指導経験を積む。大学卒業後、地元の個別指導塾にて教室長を務めたのち、理系のための大学受験塾SoRaを立ち上げて現在に至る。

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