「どれくらい勉強したら合格できますか?」の答えの落とし穴
今日はどちらかというと、保護者の方向けの話かもしれません。
よくある質問で、「どれくらい勉強したら合格できますか?」というのがある。
これはおそらく、「君なら、○○の教材を1日□□時間くらいやった方がいいよ」といったアドバイスを期待されているのだと思う。
確かに、今の学力と志望校の差が分かれば、何をどれくらいやったら良さそうかは、大学受験の指導をしている身からすると、ある程度わかるのは確かだ。
「じゃあ、それを教えてくれれば、その通りにやったら受かるのでは?」と思うかもしれないが、しかし、この発想には落とし穴がある。
それは、そのアドバイスを受け入れ実行する生徒の土壌を耕すことが必要ということだ。
「土壌」とは何か。2つの観点がある。
1つは勉強時間をやるための土壌。生徒もロボットではないので、勉強しろと言って勉強するわけではない(むしろ、そんな簡単な話ならみんなこんなことで迷ってないだろう)
勉強量を増やしくていくにしても、勉強に対してのモチベーションや習慣を身につけないとすぐにはできるようにはならない。そういったモチベーションや習慣といった土壌があって、初めて勉強時間は増えていくのである。
もう1つは、先生のアドバイスを理解できる土壌も生徒に備わってないといけない。アドバイスなんて素直に聞いてればいいじゃないかと思うかもしれないが、そのアドバイスの真意を理解できるとは限らない。
よくあるパターンとしては、気のいい返事だけしていて、実際にやる時には全然できていないパターン。こういった子は、塾の言うことを聞くのが勉強だと思っていて、本来なら志望校に向けて勉強すべきなのに、塾の勉強をこなすという手段が目的となっている。
そこに気づいて、本来の目的のために何をしないといけないのかを考えられるようになると、そのアドバイスが意味することも分かるようになってくる。
そのためには、塾の勉強をこなせばいいという思考を捨てて、それでは成果が出ないことを理解してもらう時間が必要であり、それがアドバイスを受け入れる土壌を耕す期間となる。
もちろん、先生のアドバイスが常に正しいとも限らないわけだが、そのジャッジすらも土壌が耕されていないと正確にはできないのである。
つまり、今の学力と志望校の差だけでなく、その差を埋めるために必要な土壌を耕すだけの時間も勘定に入れないといけない。
その土壌は、時間をかければ解決するものではなく、その期間の中で受験に対しての焦りや志望校への渇望、自分はやればできるという確信によって耕されるものである。
これらの焦りや渇望、確信というのは、勉強していく中で少しずつ芽生えていくものであり、気づいていくものである。そこに要する時間は学力同様に人によって様々なのだ。